デッサンごろく集

デッサン
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今回は絵ではなく、管理人がデッサンを教わった先生たちに言われた言葉をまとめてみることにしました。

それらは当時はもちろん、未だに正確に理解出来ていないかもしれませんが、それぞれに自分の解釈ものせておきます。これは基本的に自分用のメモですが、もしデッサンを理解するうえで少しでも助けになれば・・。※言われた事そのままなので関西弁なのはご了承ください。

線でかかんかい

これは何度も何度も耳に胼胝が出来るぐらい言われた言葉です。でも、これだけだと色んな風に解釈出来るので、デッサン初心者を惑わせる言葉第一位でもあると思っています。ただ、先生本人がもう少しかいつまんで教えてくれた事があるので、理屈としてはある程度正しく解釈で来ていると思います。

要するに、面(平らな表面)の向きが変わる場所を線でおこしていくという事だと思います。

大体のデッサン初心者はかげ(暗い所)を塗りたがるものです。そういう事してるやつを見つけると先生はこの言葉を発していました。

デッサンでは暗くないものかげがない物(全光=真正面から光が当たってる対象など)を描く場面もあるので、線だけで立体を表現できるようにならないとダメという事かと。

ここで注意すべきは、「線」といっても所謂輪郭線みたいな全て一定の線ではないという事。先生も、細すぎても太すぎても薄すぎても濃すぎてもダメという風に語ってた事があったと思います。その場所に適した線というものがあるのだと思います。

明るい所をかかんかい

これも初心者を悩ます言葉です。

例えば石膏像とか白い対象物を描いていると、慣れてない人はそれが真っ白に見えるんです。特に光の当たる場所なんかは実際ハレーションを起こすような具合に肉眼では白一色としかとらえられない事もあります。

でも、だからって石膏像の光の当たって明るい場所=紙の白と理解してはいけないのです。真っ白に見えたってそこには先ほど上の言葉で説明した、面の変化が必ずあります。という事はその変化を描かなくてはいけないのです。

この言葉は、白い石膏像を目を細めてみながら「ハイハイ。ここが中間色でここが暗部ね」と調子にのって塗り分けてる人へよく発せられていたように思います。

そんな良く見えるところではなくて、まずは明るい所の変化を描きなさいって事だと解釈します。

それが出来たら巧妙やぁ

これは上記の2つとは違う先生の言葉。若き日の管理人が「紙の白は残したらダメなんですか?」と質問した時に返ってきた言葉。

上の言葉とほぼ同じ意味です。紙の白を正しく残すのは非常に難しい。それだけ明るく見える面にも多くの変化があって、まずはそこを描きなさいって事かと。

ほんまは線なんて一つもないんやで

これも一個前と同じ先生の言葉。

え?ほかの先生は線で描けいうてますよ!?とこちらも初心者を悩ます言葉。

先生はこの言葉を発しながら、管理人が必死に引いた太い線を指ですぅーと消して行きます。思い出すととても切なくなります。

さて、この言葉を最初の「線で描かんかい」と整合性をとって解釈することは少し難問だと思います。

けど言われてみたら描いてる対象に本来線なんてありません。輪郭線だって本当はないんです。

そして前出の先生が言ったのは面が変化する場所をその場所にあった線で描けという事だったので、色の太さや濃さは別に一定である必要はない。という事は突き詰めればきれいな立体に吸収されて、初期段階では線として表れてたものが見えなくなるって事でいいんだと思います。要するにとても回りくどいけど、細かく噛み砕いた説明。

結論としては二人とも同じ事を言ってる。

(立体を出すには)一番向こう(奥)の面がどうなってるか考えないかん

これも上記と同じようなものなんですが、漫画とかアニメに慣れ親しんでいる人(日本人は大体そう)にとって輪郭線てつい無意識に描いてしまうものなのです。

でも、先ほどの言葉で輪郭線は本来無い物だとわかったので、では何があるのか!?となるのですが、そこにはやっぱり面があるのです。

この輪郭線と捉えがちな面とさらにその先の面がどうなっているかを考えるのが、立体とくに丸みを出すためにはとても重要な事だと思います。

姿勢をよくして描かんかい

これはデッサンの最初の作業、形をとってる時に管理人が言われた言葉です。これはとてもわかりやすい。姿勢が安定しないと見え方も安定しない=形がとれないという事だと思います。

奥を弱めるんやなくて、手前にあるものを強くしぃ

こちらは女性の先生に言われた言葉。管理人が仕上がってきたダメデッサンを描きながら「ちょっと奥行きだしたろ」と描いてた石膏像の奥の部分の色を弱めていた時に言われました。

「奥はもうそのままにしといて、それよりこっちの手前をもぉっと強くしてみぃ」とそんな感じにも言われた気がします。これは色の幅を出せずに弱々しいデッサンしか出来ない管理人へ向けた的確なアドバイスだなと今ならわかります。

弱い所(奥)から描いて強い所(手前)を描く。明るい所から描いて暗い所を描く。だって、比べる対象がないと強いかどうかは分からないですから。先に描いた部分より、さらに強くなるように描いていけって事。

そうすると自然に力強いデッサンになる。

背景描いたデッサンなんか参考にしたらあかんでぇ

これは管理人の友達が、背景が描かれた石膏デッサンの写真を参考にしながらデッサンをしているのを見て、先生が発した言葉。

管理人が通っていた画塾では、デッサンの際背景は描かないという決まりがありました。その事に対してハッキリ先生方に理由を教えてもらったことはないのですが、兎に角それでは練習にならないという事でした。おそらくは背景を描いてしまうと、奥の面の処理を誤魔化せてしまうから、その辺の面の把握があやふやになってしまう恐れがあるという事だと思います。また、背景を描かない=真っ白を背景にしてデッサンをする事になるので、対象そのものの色をしっかりと掴んでいないと描けない、という難しさがあると思います。

因みに、このデッサン(特に石膏デッサン)で背景を描くか描かないかは、地域差があるようで、噂では関東は描くが関西は描かないという事を聞いたことがあります。実際どうなのかはちょっとわかりません。

番外編:

私らは教える専門家やないからな

まさかの開き直り?あまりにも進歩のない管理人を含めた生徒(そこでは研究生といっていたかな)へはなった言い訳・謝罪の言葉。

教える専門家ではないので、うまく教えられなくてゴメンナサイ、という事。デッサンくらいさっさと描けるようになって早く自分の絵を追及する作業に専念してほしいのに中々そこへ導けない自分たちへのもどかしさも表れていると思います。

どうぞ、どうぞ・・

これも女性の先生。女性の先生は1人だけでしたが、研究生の間では実は一番きついと評判でした。

これはあまりにも酷い、もしくは教えることは教えたのにちっとも描けてない人へ対して放たれる言葉。要するに「もう勝手にしてください」です。(もちろん憶測)

私らかて、いい時もあればアカン時もある

デッサンを含めた「絵」を描くという事は、先生達の様に何十年も描き続けている上手な人でも本当にいいものを描けるのは極稀なんだから、あんた等は失敗して当然。どんどん失敗を恐れず描きなはれっていう意味だと思います。

本当にいい絵が入選・入賞するわけやない

これは油絵などの絵画作品をコンクールや公募展へ出品する人向けの合評会での言葉。目に留まりやすい、または流行りの画風など、コンペに入選するにはコツがある。でも、そこに入る絵=良い絵では決してないよ、という意味。とにかく落選したってなにしたって描き続けなさいっていう気持ちがこもっていると思います。

デッサンで描けへんもんは作品でも描けへん

先生に直接言われたのか、先生の言葉を人伝に聞いたのか忘れましたが、間違ったことではないと思うのでのせておきます。これはデッサンの重要性を語った言葉だと思うのですが、油絵や水彩などの絵画作品を仕上げるうえで、デッサンで描けないものを描こうとしたって結局はそのデッサンを越えるような仕上がりにはならないという事。

簡単に言うと、初心者はまずデッサンをするべし。そしてそこそこ描ける人も、より良い作品を描きたいなら、デッサン力の向上を常に志すべきって意味になると思います。

木炭の描き方は油絵の描き方とにてるねん

こちらも人伝に聞いた話だったかもしれません。管理人が行っていた研究所はデッサンをするのに木炭を使っていました。木炭紙に木炭と練りゴムとガーゼを使って描いていました。ただ練りゴムは手の汚れを取るもので、画面の木炭をとるものじゃないと教えられました。では何で木炭を取るかというと「指」です。基本的な手順は木炭で描く、そして指で押さえる。それだけです。これはどういう事かというと、極力足し算のデッサンをしようという事だと思います。形をしっかり取ってから描き進めれば本来「消す=引き算」という作業は必要ないのです。明るい所から描いていけば、あまり消す作業をせずに仕上げられると思います。

そして、この木炭デッサンの進め方がとても油絵の制作と似ているらしいのです。まだ管理人は具体的にどことどこが一緒だとは言えないのですが、描いた線を「面」に馴染ませやすい所などが似ているのだと思います。また、先生は「鉛筆デッサンの方が実は難しいんやで」、とも言っていました。鉛筆だとどうしてもまず線が先に立つ。だから難しいと考えることが出来ると思います。

因みに、(透明)水彩はどうだろうと考えてみるとやはり似ていると思うのですが、後戻りが出来ない、描いてしまったらなかなか消すことが出来ないという意味で、油絵や木炭デッサンよりずっと難しく計画性が必要な画材ではないかなと思います。

今後も追加、修正予定。

コメント

  1. 高田  より:

    70代の爺さんです。なまけものなので練習不足ですが、奥の深い教えに感動しました。
    確かに、陰で立体感を出すものと理解してましたが、明るさのなかにも凹凸はあるわけで、今まではその表現から逃げていたのかもしれません。
    わが絵画サークルの先生は、この手の指導をされないので自由といえば自由でありがたい?のですが、勉強になります。
    ありがとうございます。ご活躍ください。

    • ぼちょー より:

      コメント有難うございます。私もまだまだで、先生方に頂いた言葉を頼りに試行錯誤の日々です。
      見たままを描くのではなく、見て考え理解して描く、それさえ怠らなければきっと前進していけると思います。
      絵の世界に年齢も上下も関係ありません。お互いに一枚でも多く良い絵が描けるよう、頑張りましょう。

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