今回は描き方と言うよりも絵の仕上がりにどういう要素が関わっているのかを考えてみました。
一つの女性の顔を描いた絵にしても、「写実的」とか「イラストっぽい」と「漫画・アニメ的」とかと表現できると思うのですが、その辺の受け方の違いが何のさじ加減で変わってくるのかを簡単に捉えられないかなと思ったわけです。
因みに管理人がここにのせている絵は、写実的? ではない(それっぽいのもあるが)ですし、イラスト? でもないし・・漫画でもないし・・。それでもデッサンが特におかしいわけではない(はず)ですし、こういう絵の個性って一体どこから来るのか?って言う事にも関係がある話だと思います。
面の向きを描く
いつもこのサイトで口うるさく言っているのが、デッサンは面の向きが変わる所を描かないといけないという事。もちろん実際の人間の顔には、そんな角張ったハッキリと見える「面」はほとんどないですよね。
でも、管理人の制作動画は初めの方いつもカクカクしています。それでも徐々に丸みを帯びてきます。これはどういう事かというと、少しずつ面の数を増やしていってるという捉え方も出来るのです。
管理人は根気が足りないので、実際の様に滑らかな表面にはせず、部分的に結構面を残しているのですが、これは別に失敗ではなくて個性の一つだと思います。(デッサンの試験なら別ですが)
という事は、写実的に描きたいならより面の数を増やせばいい(もちろん正しく増やす必要がありますが)のですし、制作初期段階のカクカク・のっぺりとした画面はイラストやアニメ的な表現に繋がると思うのです。
1つ目は面多め
麺ではく、面です・・。
今回はいつもより少しだけ丁寧に描いたつもりですが、それでも写実的とまでは言えないです。
※以下で面の数を数えていますが、違う場所にある同じ向きの面を1つと数えるか、もしくは2つと数えるかで随分変わります。面の個数は参考程度に。
こんな具合に徐々に面の数を増やしていくと、少しずつ丸みが出てくるのが分かると思います。ただ、あまり細かく分ける必要はないです。本来の曲面はどこをとっても本当の真平な面なんて一つもないわけで、分けようと思えばいくらでも分けられてしまうのです。なので、頭の中で捉える面の数は大体上の3つ目の画像ぐらいの数に留めておいて、後はその面と面の間を納得が行くまで埋めていく作業をすればいいのです。(ただこの作業はとても慎重に行う事です)
また、もう一つ指摘しておくべきことは、全ての部分を一定に捉える必要はないという事。今回の人の顔だとやっぱり目や口を丁寧に描きたくなると思いますので、より小さな面を描く必要が出てくると思います。
そういう時は、部分的により細かく見て捉えて描けばいいのですが、一つ注意。これまでの説明の流れを考えればわかることですが、そういう小さい面(目や口)は最初の段階では描かないという事です。
あくまで「大きな面→小さな面」という流れを守るべきなのです。
見てもらうとわかりますが、面多いと言いつつ服などはとても単調です。目元口元だけちょっと力入っています。こういう、どこを流してどこをより描くか。これが一つ個性に繋がっていると管理人は考えています。
追記2015.09.22:
面多めバージョン描き直しました。下絵を鉛筆で描き、その線を残したまま仕上げたので印象が少し違います。ただ、意識した面の数は同じぐらいです。
2つ目は面少なめ
今度は面を減らしてみます。減らすとどうなるかというと、イラスト・漫画っぽくなるんでしたよね。実際そうなるかやってみます。
※髪の毛を明るい色で表現していますが、別に面が少ない=明るい色ではないので注意
この様に部分的には大いに単調な具合に描いています。特に髪の毛の向かって左側なんかはとっても「のっぺり」した表現になっていますし、頬っぺたも同じく少しカクカクしています。でも、別におかしいという感じは受けないと思います。
目を結構描いてしまったのと、水彩絵具の滲みや自然に現れるグラデーションで、十分イラスト・漫画っぽい域は過ぎているのかもしれませんが、その辺は各自の好みで調整して下さい。管理人自身ももう一歩思い切った単純化を同じモデルで描こうかなと思っています。
追記2015.09.16:
面少ないバージョンを描き直しました。今回はよりハッキリと分けました。捉えた面は2つか3つ。ただ、やはり微妙なグラデーションがついているので、そこまで単調な感じは受けないかもしれません。日本の漫画というよりアメリカの漫画といった感じでしょうか・・。よくわかりませんが。
まとめ
こういう風に絵の表現を面という単位に還元してみると、自分の絵に対峙する時にとても役立ちます。自分で自分の絵を分析出来るわけです。
「何故こう見えるのか?」という疑問に自分で答えを見つけられるわけです。これは人の絵を見るとき、また人の意見を聞くときにも役に立ちます。自分の中にこういう基準が無ければ人の絵や意見に流されがちなのが絵の制作です。
「いつまでも先生がおるわけやないんやで」というのは管理人が教わった先生に言われた言葉です。形の狂いも自分の絵とは何かという事も誰も教えてくれません。
だから、しっかり自分の中に基準をつくって制作に挑むべきだと思うのです。そして、人に絵を見せるのはその絵の間違いを知りたいわけではなく、何かを感じてもらいたいからなのです。(最後少し愚痴になりました)
以下、制作動画になります。
Ver.2 追加2015.19.22:
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