先日描いた林檎の水彩画を使って、今までより詳しく説明してみます。
詳しいからと言って、分かりやすいかどうかはちょっと分かりません。ここが知りたいとかあったら是非お知らせください。
1.下絵
技術の説明ページの1-(2)で説明していることを自分で実践してみました。
(1)外側
まずは輪郭線です。
輪郭線を直線的に捉えて、その線の角度を対象と見比べながら、写し取って行きます。
この時に構図の事も考えて、どこにどの大きさで入れるか決めます。構図は後から修正がきかないので、納得がいく場所・大きさで描きます。
(2)内側
外側の形がある程度固まったら、内側のパーツの位置も決めていきます。
といっても、今回は林檎のヘタぐらいです。
輪郭にこれと言って目印になるポイントがないのですが、ちょっと角度がついている部分などを見つけて、そこからヘタへ仮の線を伸ばして角度を測ります。
さらにもう一本輪郭の別のポイントから線を伸ばして交わる場所がヘタの位置になります。技術の説明ページの1-(2)―アの方法
または、垂直線を仮定して、長さの比率を測る方法も併用するとより正確に測れます。技術の説明ページの1-(2)―イの方法
(3)面を描く
次は、林檎を大きな面で捉えて、その面の変化(オウトツ)がある部分に軽く線を入れておきます。これは技術の説明ページの2-(1)での説明に該当します。
縦の線と横の線、2本ずつぐらいで十分です。
ここまでの水彩画解説映像です。
2.マスキング
今回は分かりやすいように、光があたっている右側の角の面に大きくマスキングしてみます。
この時見える紙の白さと、着彩後マスクを取った後の紙の白さの見え方を比べてみると、隣り合う色との関係がいかに大事かがわかると思います。
3.着彩
ここでも技術の説明ページ2―(1)と2-(2)をあわせて参考にしてください。
(1)基本の色を塗る
まず、林檎の色を構成している要素の一番薄い色で全体を塗ります。ここでは黄色を使ってます。
この時はオウトツを考えずにとりあえず林檎の色をつけます。
(2)大きな面を描き分ける
全体を塗り終わったら、今度はオウトツを意識して面を描き分けます。
下絵の段階で描いておいた線を参考に、最初の黄色より少し濃い色を選び、面を描き分けます。
(3)明るい所を描く
大きな面を描き分けたら、次はちょっと細かい面を描いていきます。
この作業は右側の光が当たっている方向から行います。その理由は技術の説明ページ2-(2)を見てください。
ただ、あまりにも細かく捉えるのは良くないので、面を分ける線をもう一本足す、ぐらいの意識で十分です。
(4)中・暗を描く
明るい部分を描いたら、今度は中間色と暗部が弱くなってくるので、明るい部分より濃い色で描いていきます。
この時はあまり細かい面を意識しなくても、自然と林檎の丸みを描けると思います。
中間色部分と暗部は、明かるい所より描くのが簡単です。目で面の変化を捉えやすいからです。
(5)遠近感
林檎一個描く場合でも、すこし遠近感を意識した方が良いと思います。
手前の方にある面を描くときは、すこし鮮やかな色を使います。
(6)奥の面を描く
内側ばかり描いていると、奥側の面(輪郭線も含む)が弱く見えてきて、何となく締りのない印象を受けると思います。
ある程度内側を描いたら、奥の面も描いていきます。ただ、奥の面にあまり鮮やかな色を使うと、先ほど説明した遠近感がなくなってしまうので、控えめな色を使います。
(7)人工的な影を描く
今まで描いてきた、林檎そのものの陰ではなく、林檎が地面に落とす影を描きます。この影は強く描きすぎるとバランスが悪くなってしまうので、薄く描くことがポイントです。
(8)マスクをはがす
大体仕上がってきたら、マスクをラバークリーナーや消しゴムで取り除きます。
保護していた部分は真っ白になるので、上から面の変化を描き足します。
(9)仕上げ
あとは、じっくり眺めたり、目を細めて(ぼかして)見たりしながら、描き足りないところを描いたり、描きすぎたところを水で洗って弱めたりして微調整します。
そして、自分で、結構いいかも!と思ったところで完成でいいと思います。
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