デッサン 水彩画で解説 映像付

人物のデッサン説明図01 デッサン
色んな部分を結ぶ線の「角度」を正確にとって行きます。とくに目のラインは重要。
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常々このサイトで解説していることは「水彩画」というよりデッサンの基本だよな・・と思っていました。水彩絵具を使ってデッサンしてるようなものです。管理人のズボラな性格の所為もあって、「マスキング」とか「水張り」とかそういう水彩らしいテクニックは全然行われておらず、解説も殆どしていません。

という事で今回は潔くデッサンというタイトルを付けて書いてみたいと思います。一緒にデッサンの深みにはまっていきましょう(^^;

まず基本的な事は技術の説明に書いてます。(いきなり投げやり) でも、このページに書いたことは管理人がデッサンを教わった先生たちにしつこく言われた事をまとめたページなのでみてもらって損はないと思います。

今回の参考例↓ こんな感じに描きます。

女の子の水彩画

例1:管理人の姪。非常に難しい顔をしていますが、本当はもっと可愛らしいです。イルカを必死に見てる場面です。

桃の水彩画

例2:一応、桃です。

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1. 形をとる

何はともあれ、白い紙に向かってまず一番にする事は対象の形をとることです。管理人的にはこの作業がデッサンの中で一番難しいと思っています。

以下形をとる際のポイント

(1)まず空振りでいいので、紙の上で沢山腕・手を動かして形を描く振りをする

この辺に頭が来て~、この辺が胸で腰で・・ と手をしっかり動かしてから、その動きにそえるように鉛筆・シャーペンで線を引く。そんなイメージで行うと生きた線が描けると思います。

最初は無駄な線も沢山あらわれると思いますが、徐々に必要な線を絞っていけばよいのです。

(2)形をとる際は線の角度を重視する

これは人それぞれだと思いますが、管理人はこの方法がしっくりきます。

長さを比べて形をとる方法の方が一般的に知られていると思いますが(測り棒等で腕を伸ばして測るやつです)それよりも輪郭線の角度や、人物なら鼻の角度や肩のラインなどを正確に測るよう意識した方が楽に形がとれると思います。

人物のデッサン説明図01

色んな部分を結ぶ線の「角度」を正確にとって行きます。とくに目のラインは重要。

桃のデッサン01

丸っこいものも最初は直線的に捉えた方がよいです。

上の図に示したようなラインを実際(うすく)描いてもいいですし、頭でイメージするだけでもいいです。そして、その線の角度が「水平」なのか、あるいは「左に下がってる」「いや、上がってる」など、対象と自分の絵をよく見比べて正しい角度を測っていきます。

長さの対比、たとえば人物の場合は全身に対しての頭の大きさなどは大雑把にとっておいて、足が伸びる角度や股から頭部まで伸ばしたラインの角度など、兎に角あらゆる部分の角度を正確に測ると意識した方がより早く、正確に形をとることが出来ると思います。

詳しくは技術の説明ページも見てください。

2.大きな面で分ける

これは形をとる事と同時進行で進めなければいけないのですが、ある程度形がどれたら輪郭線の内側にある面の変化を線で描いていきます。

線だけである程度立体感が出るように面分けします。

面とは平らな表面の事です。モチーフの表面をよく見て、面が変化している所に線を入れていくのです。

人物のデッサン説明図02

例えば布を一枚被せても表出するような大雑把な面の変化を描きしめします。(青い線は実際には入れていません)

桃のデッサン説明図02

当然本来はもっと細かい変化がありますが、最初はこれくらいザックリした感じがいい。

ここでの注意点は一つ。

面を細かくみ過ぎない

本来、面は無数にあるものなので細かくみればきりが無くなります。

それを人間が把握しやすいように、単純化する作業なので、最初は出来るだけ少ない数の線で立体感が出るように描きます。

3. オウトツを描く(明暗・陰影)

一般的には「明暗を塗る」とか「かげを塗る」といわれる作業かもしれませんが、管理人は「オウトツを描く」というふうに理解しています。

詳しくはやはり技術の説明を見てもらいたいのですが、要するに「面の向きが変わる所」=オウトツを描いていけば自然と明暗は表現できるという事です。これは最初に行った「大きな面で分ける」という行為となんら違いはありません。ただその範囲を徐々に局所的にしていけばいいだけです。

というと、なんだか難しい作業のように感じるかもしれませんが、実は形をとる事よりずっと簡単だと思います。
でも、スイスイと進めていくにはやっぱりいくつかポイントがあります。

(1)明るい部分から描く

これが一番重要。描く対象の光が当たって明るい部分、今回の例だと人物は右頬(向かって左)から桃は向かって右側のオウトツから描き始めます。

最初に分けた大きな面より細かい面の変化を描き加えて行くのはまず明るい部分。そして、そのあと徐々に暗い方へ移行する。もし、描き足りなくて明るい所を加筆したらまた暗い部分も描く。この流れが一番効率が良いです。

人物デッサン説明図03

明るい所をいきなり描くのは少し戸惑うかもしれませんが、その後により強い色を隣に置いていくことで、バランスの取れた強い絵になります。

桃のデッサン説明図03

明るい向かって右側から描いていく。

なぜ、この手順がオススメかは技術の説明ページに書いています。

(2)細かくみ過ぎない

せっかく最初に大きな面で分けたのに、次いきなり鼻の穴や耳の細かいオウトツを描いてしまったら立体感も無くなってしまいます。

例えば耳なら耳たぶは少し上を向いてますし、耳の上の方は逆に下向き加減になっているかと思います。そういう細かすぎないオウトツ=面の変化から描いていき、徐々により細かい耳のオウトツを意識していけばよいのです。

最初は「人」だ「桃」だと思わずに、それっぽい形をした物体ぐらいに捉えた方がいいかもしれません。

人物デッサン説明図04

それっぽい形をした物。目を描かねば、耳を描かねばと思うと上手くいかない事が多いです。

人物のデッサン説明図05

そして徐々に細かいオウトツ=表情を描いていきます。

人物のデッサン説明図06

明るい所を描いたら必ず暗い方も描く。

桃のデッサン説明図04

桃は初めから単純な形なので、簡単と思うかもしれませんが、「球面」を表現するのはとても難しいです。

桃のデッサン説明図05

明るい所を描いてから、暗い所へ・・。とにかくその繰り返し。

桃のデッサン説明図06

桃にも表情=細かいオウトツがあります。徐々に描いていきます。

あとは自分が描きたいところまで描いて、よし!完成と思ったところでやめたらいいのですが、なかなかやめ時がわからないかと思います。

そこで一つ目安。

(3)一番手前の物、一番描きたい部分をより強く描く

今回の例だと姪っ子の左頬や鼻、帽子のつばが手前でしょうか。桃は当然ヘタの前が一番近い部分です。

さて、そういう風に手前にある部分奥にある部分が存在するのですが、この手前と奥に同じ方向を向いた面があるとして、向きが同じだからと色を同じにしてしまったらどうなるか。同じような描き込み具合だとどうなるか。

当然、遠近感がでません。

面の向きによって色の違いを表現してあげないと立体は出ないのですが、遠近によっても何か違いをつけないと遠近感はでないのです。

では、そういう自分に近い部分はどうすれば強くなるかというと、より色を強くする。若しくはより細かい面まで描いてみる。など奥との変化をつけるべきなのです。

注意すべきは、決して初めから奥を弱める事で遠近感を出そうとしない事です。この行為は結果的に絵を弱いものにする可能性が高いです。あくまで明るい所→暗い所へ進んだように、奥→手前という順番を忘れないように。

そして、この奥行きが出てくれるとなんとなく完成度が高くなった気になるのです。画面上に遠近感があるかないかが絵を終える一つの目安になるかと思います。

また、一番描きたい部分は位置的には同じあたりにあってもやはり帽子よりも顔の方がより描きたいものだと思います。そういう部分は少し意識して味付けしてあげると面白い絵になると思います。

4.人工的なかげを薄くいれる

人工的なかげって何かというと、物が遮って落ちるかげの事です。

今まで描いてきた物体の形のかげ人工的なかげとで本来は漢字で分けることが出来るのですが、ちょっとどちらがどっちか分からなくなっているので平仮名で表記しています。※辞書で調べる限りは物体の形の影、人工的な陰というのが正しいようなのですが、管理人がデッサンを教わった先生たちは逆の事言っていたような気もして、また他サイトの表記も結構バラバラなので・・。

そしてこの人工的なかげというのは立体感を崩す曲者なのです。初心者にとってはとても捉えやすく、簡単に物体が浮き上がる表現が出来るので、ついつい早い段階でしかも強くこれを入れてしまいがちだと思うのですが、それをやると決して格好いいデッサンは描けないです。

正しい順番は、「物体のかげ」→「人工的なかげ」です。あくまで立体を表現しているのは物体のかげなので、人工的なかげは描かなくてもいいぐらい、ホント薄くうすく入れるべきなのです。

人物のデッサン説明図07

帽子に遮られて出来る「かげ」は薄く薄く。

桃のデッサン説明図07

これでも濃いぐらい。

5.その他注意点

石膏像などを描く場合はあまり必要のない注意なのですが(汚れた石膏像は別)、必ずオウトツの色の変化物の色とをわけて捉えるべきです。

例えば桃。表面は斑ですが、そればかり追っていては立体感は出ません。ここでの順序は「オウトツの色」→「物の色」としっかりわけて考えます。

もちろん、物の色を描いていて立体感が無くなってきたなと思ったら、もう一度オウトツ=面の変化を捉えなおす事が必要になります。その繰り返しです。

完成↓

人物のデッサン完成図。

制作時間は1時間22分。

桃のデッサン完成図。

制作時間は1時間。

↓制作過程動画

もっと詳しい描き方は以下の記事を参考にしてください。

水彩画の描き方 「人物」 映像と写真で解説

水彩画の描き方 「髪の毛」

水彩画の描き方 人物全身(腰から上ぐらい)

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